露地は、その地の里山の風情を表すもの。この庭の材料にも、出来る限り地産の物を使っている。
袖垣には、改修前の建物の壁土を使った
碾き臼を水盤に見立て、山形県産の高畠石切り石の古材を使って沢を渡る八つ橋のイメージを作る。水盤まわりの菖蒲は、もともとここに植えられていたものを植え戻した
水盤に見立てた碾き臼の水源は、雨落ちに敷いた小石の枯れ流れに注ぎこむ。
欠けた瓦とお手持ちの碾き臼でサクランボの意匠を作り、沢飛びとして使った。瓦、枯れ流れの小石も土中から出てきたもの
山形県産の川石を畳んだ延段。延段脇には、解体した壁土に現場の土を合わせ 版築工法の10センチほどの土留めをつくった
版築の土留めが苔生し風化するころには、カンスゲが根を張り土を止めてくれる。
中門は枝折戸のみでやわらかく仕切っている。この露地で大切な役目を担うヤマツツジが客を迎える
中門の足元の枯れ流れが、外露地と内露地の結界。
ヤマツツジは、里山の風情と野趣味を感じさせてくれる。ここは雪国、そして一番大切にしたい事は亭主の茶道観だ
張り出した土庇が庭の景色を引き締め、引き立ててくれる。
シャクナゲの根元から湧く清水を細竹で水鉢へ落とし、水源は枯れ流れとなって庭を降り茶室へ向かう
家を支えてきた束石たちを露地の要所に打ち、水鉢以外の蹲踞の役石にも既存の石を使った
木も石も草も、そして季節ごとに咲く花も、以前からこの庭にあり家人が愛でてきたもの。
茶事を行わない時、ここは普段使いの庭になる。