この庭には、大きく枝を張る柿の木がある。
長い間ご家族の成長を見守ってきた、この庭の守り神だ。
「木陰で涼めたらおかげさま」、そんなことを感じられる庭を作りたい。
庭の柿の木を見ていたら、そんな想いが湧き上がってきた。
今回の作庭は、リビング前の主庭。
コンクリート擁壁の土留めの手前は駐車場になっている
庭へアプローチする階段は寒風石の板石で囲い、コンクリート擁壁の無機質な印象を和らげた
階段を登ると、柿の木の根元に小さなテラスがあらわれる
広く枝を張る柿の木の存在感、これがこの庭の一番の見所だ
夜になると、土の中から出てきた土管の灯りと、石を組んだ灯りが庭を暖かく照らす
現場から出た石の形が面白く、ドーム状に組んで水鉢を収めた。
白神山地の麓に「銚子の滝」がある。
流れ沿いに細い岩盤の小道を行くと、えぐれた崖に辿り着く。そこは天井の高い洞窟に入ったような、天然のドームだ。
この半円の天井の切れ目から落ちる滝を、薄暗い岩のドームから見上げる。
その造形は、時空を超えた不思議な空間を作っている。
そんな景色を思い描きながら、石を組んだ。