現代的な新築住宅を「森の中の家」に。この地の植生を調査し、里山の樹木を植えて地産の石の道と小川を作った
3月、完工直後の庭。アプローチを進むと里山の景色が出迎え、石畳が森の中へと人を誘う。
山の樹々の下草は山のスミレ。ふだんは見過ごしがちな足元の草花が、この庭では景色になる
水音に誘われ、石畳から沢に架かる木道へ進む
枕木のアプローチからは石畳の小道を通って主庭へと向かう。石畳はチリをほとんど出さずあえて低く組んだ
石臼は、大切に使われていた暮らしの道具。見立てることで庭で新しい役目を得る。里山はそこに住む人々の暮らしと共にあるもの、庭もそうでありたい
山道の園路からは飛石で川に降りることができる。
飛び石は、水の中をのぞき込むための石。子供はよくそんな遊びをする
水の流れは人を癒す。時にはぼんやり眺めるだけでもいい。
せわしない日々の暮らしの中でも、庭で過ごす時間を楽しむ。そんな趣向も考えたい。
ヤマザクラの足元にはイカリソウやショウジョウバカマ、ギボウシ、ヒトリシズカなど里山の草花が顔を出す
庭と玄関の仕切りに積んだ薪はヤマザクラやケヤキ、コナラなど。曲がった幹で両側から押さえ、フジの蔓で結束した。山の更新で切り出された木が薪となって、ここに積まれているという物語
リビング前の庭から森へ向かう導線の道。
ここは山中の雰囲気を出すため、平らな土地に盛土をして起伏をつくり、地盤の勾配に合わせるように石を張っている。この山道は、あえて天平ではない面を上にして畳み、雨水で表土が流され岩盤が露頭し道になった様子を表現した
下枝を払った片枝の樹木を寄せた様子。1本1本は細く派手さのない樹だが、集合させることで森の景色を形作る
庭の樹々は気候風土に適した植生を意識して植えた。背の高いヤマザクラがナツハゼにかぶさるように庭へ向かい枝を伸ばし、路に木陰をつくる。
故郷の昔の生活が偲ばれる、どこか懐かしくてのどかな景色の庭。