里山に暮らす庭

庭を流れる春の小川。草が茂り、流れの護岸に根を張る
春の小川。草が茂り、流れの護岸に根を張る

現代的な新築住宅を「森の中の家」に。この地の植生を調査し、里山の樹木を植えて地産の石の道と小川を作った

アプローチから石畳の園路、木道への繋がり
アプローチから石畳の園路、木道への繋がり

3月、完工直後の庭。アプローチを進むと里山の景色が出迎え、石畳が森の中へと人を誘う。
山の樹々の下草は山のスミレ。ふだんは見過ごしがちな足元の草花が、この庭では景色になる

石畳から沢に架かる木道へ庭を進む

水音に誘われ、石畳から沢に架かる木道へ進む

園路の石は厚み20~40cmほどの鳥海山安山岩
園路の石は厚み20~40cmほどの鳥海山安山岩

枕木のアプローチからは石畳の小道を通って主庭へと向かう。石畳はチリをほとんど出さずあえて低く組んだ

流れに架かる木道
流れに架かる木道

割れた石臼を見立てた水鉢
水鉢は割れた石臼を見立てたもの

石臼は、大切に使われていた暮らしの道具。見立てることで庭で新しい役目を得る。里山はそこに住む人々の暮らしと共にあるもの、庭もそうでありたい

ハシバミの幹をくりぬいた筧
ハシバミの幹をくりぬき、筧に。ハシバミはこの庭に迎えた土地の植生の樹の一種

山道の園路からは飛石で川に降りることができる。
飛び石は、水の中をのぞき込むための石。子供はよくそんな遊びをする

庭の流れの淵の飛び石に乗り、川面に映る木立を眺める
淵の飛び石に乗り、川面に映る木立を眺める

水の流れは人を癒す。時にはぼんやり眺めるだけでもいい。
せわしない日々の暮らしの中でも、庭で過ごす時間を楽しむ。そんな趣向も考えたい。

浅い溜まりには小鳥も水浴びにくる
浅い溜まりには小鳥も水浴びにくる

庭をめぐる路は峠へ向かい、麓にはヤマザクラが迎える
路は峠へ向かい、麓にはヤマザクラが迎える

ヤマザクラの足元にはイカリソウやショウジョウバカマ、ギボウシ、ヒトリシズカなど里山の草花が顔を出す

玄関から見た庭。正面はヤマザクラ
玄関から見た庭。正面はヤマザクラ

庭と玄関の仕切りに積んだ薪はヤマザクラやケヤキ、コナラなど。曲がった幹で両側から押さえ、フジの蔓で結束した。山の更新で切り出された木が薪となって、ここに積まれているという物語

雨上がりに西日を浴びて光る石畳
雨上がりに西日を浴びて光る石畳

庭に峠へ向かう山道を作った
峠へ向かう山道

リビング前の庭から森へ向かう導線の道。
ここは山中の雰囲気を出すため、平らな土地に盛土をして起伏をつくり、地盤の勾配に合わせるように石を張っている。この山道は、あえて天平ではない面を上にして畳み、雨水で表土が流され岩盤が露頭し道になった様子を表現した


6月、梢の緑が日に日に濃くなってゆく庭
6月、梢の緑が日に日に濃くなってゆく

下枝を払った片枝の樹木を寄せた様子。1本1本は細く派手さのない樹だが、集合させることで森の景色を形作る

木漏れ日が降る山の路を庭に再現
木漏れ日が降る山の路

森の路を進み、庭の最奥部へ向かうとそこはナツハゼを寄せ植えした山の峠
森の路の最奥部はナツハゼを寄せ植えした山の峠

庭の樹々は気候風土に適した植生を意識して植えた。背の高いヤマザクラがナツハゼにかぶさるように庭へ向かい枝を伸ばし、路に木陰をつくる。
故郷の昔の生活が偲ばれる、どこか懐かしくてのどかな景色の庭。

「里山の樹木に抱かれて暮らす」
作庭年度・撮影:2008年


ブログ 杜の木漏れ日

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