HOME > エッセイ・庭を考える > 「和の庭って何だ?」
庭づくりを生業としていて今さらこんなことをいうと笑われるかもしれないが、『和の庭』って一体なんだろう?
和の庭とは和式の庭、和風の庭ってこと?
料理でもそうだが、「〜風」と付くと、「〜っぽい」とか「〜みたいな」という意味に取れて、あまり好きではなかった。
どうせなら「風」ではなく、「〜」そのもののほうがいい。
ということで、これまで「和の庭」とか「和庭」という呼び方をしていた。
住宅の庭は、一般的に洋風の庭と和風の庭とに大別されるようだが、実際、庭づくりの依頼をいただく時なども、漠然と「和風(洋風)の庭で。」とお願いされることが多い。
で、そもそも和風の庭、和風庭園とは何ぞや?
そこで、「和」、「和風」、ついでに「日本庭園」を解析してみる。
「和」という言葉を辞書引きすると「和やか、穏やか、和らぎ、調和」などと出てくる。
「和風」は「日本古来の様式、日本式」で、「日本庭園」は「日本特有の技法でつくられた庭園。日本式庭園。」。
言葉の意味から考えてみると、「和風の庭」と「日本庭園」は同じような意味を持つが、「和の庭」となると少し意味合いが違ってくるようだ。
日本庭園もイングリッシュガーデンも、それぞれの土地でそれぞれに発達してきたもので、その土地の気候風土や文化、時代、建築、人、様々なものとの調和の中で育まれてきたものだと思う。
こうしてみると、「和の庭」とは、本質的な部分では和洋に関係なく、さまざまな物事との調和が取れた心の和む庭ということになるのか。
庭は本来自由なもので、こうでなければならないというものはないと思っている。
大切なのは、既成の形に捉われず、時代に合わせ、その地その家、そこに住む人に合ったスタイルの庭を創り上げることなのではないかと、そんなふうに思う。
関係ないが、妻は津軽の出身で、津軽では自分のことを「わ」という。
となると、津軽では「わの庭」は、「我の庭」ということになる(笑)。
行き着くところは、自分にとって良い庭ということか。
で、この自分というのは、はてさて作り手のことか住み手のことか。
どちらにしても、あまり「我が強い」と調和ではなくなる(笑)。
作る側にも住む側にも調和が大切。ということですね。
こんなふうに、普段何気なく使っている言葉でも、あまり深く考えて使っていないことが多い。
仕事の言葉、専門用語などでもそうだ。
理屈じゃない、感覚が大切、などということもある。
あまり深く考えない方がいいのか、ちゃんと考えた方がいいのか、よくわからないこともある。
あんまり暑いと、もうどうでもよくなったりする時もある(笑)。
が、物事に対して、自分の言葉や考えを持っていることに越したことはない(と思う)。
せめて、自分の作る物に対しては、言い訳ではなくて、胸を張って説明できるようにしたいと思う今日この頃です。