HOME > エッセイ・伝えたい心 > 「駒形のネブ流し(富根分館報より)」
2012/08/13
私は能代市二ツ井町の富根地区在住ですが、この度、富根分館の館報が発行になりました。
富根分館報は、お盆とお正月に2回発行される広報紙ですが、今回は、先日、私の暮らす駒形集落で行われた「ネブ流し行事」についての原稿依頼を受け、ちょこっと書かせていただいております。
以下に、原文をご紹介いたします。
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「ネ〜ブネ〜ブ流れれ、ケガジも流れれ! 」
8月6日、今年も、駒形地区の伝統行事である「ネブ流し」が行われました。
ネブ流し(七夕)の行事は県内外にたくさんありますが、駒形のネブ流しは、竿の形から竿灯の原初的なものとも言われており、平成5年、県の無形民俗文化財の指定を受けています。
観光化した大型七夕と違い、集落だけで行われる小さな行事ですが、いにしえの形を今に残す、素朴で味わい深い行事です。
ネブ流しに使う竿は、その日の午後、駒形川の上流から採取した柳の枝を杉の杭に取り付け、提灯を飾ったものを大小5本作ります。
夕刻、このネブ竿は田楽灯篭を手にした子どもたちを先頭に集落を練り歩くのですが、闇夜に浮かぶ提灯と笛太鼓の音色が醸し出す幻想的な光景には目を奪われます。
ネブ流しの「ネブ」は害虫や疫病のことですが、農地の多い駒形では、虫から農作物を守り、五穀豊穣を祈る行事として行われてきました。
枝に虫が付いているほど多くのネブが流されるということで、ネブ竿に付ける柳の枝には虫の付いた枝が選ばれ、小路小路を隈なく練り歩くことで集落内のネブも集めるのだそうです。
こうして集められたネブの枝は運行後に竿から外され、駒形川の下流に流されます。
流す時には「ネブネブ流れれ、ケガジも流れれ」と唱えますが、今年も村の長老の指揮のもと、子供たちの合唱によりネブが流されました。
ネブ流しの後には駒形伝統の奴舞いや女性部による手踊りが披露され、踊り手も観客も一緒になって、直会が開かれます。
流したネブと汗に変わり、今度は冷たいビールを身体に流し込み、身を清めるのです(笑)。
ネブ流しや直会の段取りはその年の役員の仕事。準備は大変ですが、どうせやるなら楽しくやろうではないかと、今年は直会担当者の提案により、焼肉や焼イカ、サザエなどもふるまわれて、直会に花ならぬ団子?を添えました。
焼きイカだけに、男衆だけが楽しんではイカん!ということで、女性や子供たち向けに手作りデザートも用意されるなど、役員のおかあさん方も腕をふるいます。
町内には子どもが少なくなってきていますが、このネブ流しには外孫たちもたくさん集まることから、一年で一番賑やかな日かもしれません。
駒形のネブ流しは、厄除けであるとともに、地域の人々の絆を深める場でもあります。
町内の皆さんのご協力により、今年も無事行えたことに感謝です。
分館運営委員 駒形 福岡徹
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この分館報は、富根地区全戸に配布されます。
駒形地区には、明日朝、私がチャリンコで配布予定。
お盆で帰省中の皆さんも、ふるさとの行事をお楽しみください。