「臥竜垣と彗星の庭」

 

「風の松原の庭」

 

こちらは15年ほど前に作庭させていただいた「風の松原の庭」のお宅です。今回は傷んだ竹垣の取替えと、併せて中庭の模様替えを行いました。

 

臥竜(我流)垣

 

2007年3月作庭  作庭地 能代市

 

駐車場と主庭の仕切りとなる竹垣は、もともと、塀の控えと同じ高さにした四つ目垣でしたが、庭の奥行に対して少し高いように感じたことから、前回の取替えの際、低い金閣寺垣に変えました。3回目の交換となる今回は、塀や控えとの繋がりを考えて、光悦寺垣のように徐々に高さを下げて行くやり方をしてみました。

 

施工前

施工前

 

完成

完成

 

 

施工前

施工前

 

 

完成

完成

 

 

「臥竜垣」

 

光悦寺垣は、牛の寝そべる姿に似ているということから、別名「臥牛垣」とも呼ばれます。偶然にも、近所には「臥竜山」という地名があることから、この垣根は「臥竜垣」とでも呼んだらいいでしょうか。日本庭園の竹垣は、一般的に真っ直ぐな面を見せるように組んでいきますが、今回はそのようなセオリーを無視し、竹の曲がりをそのまま活かすやり方をしてみました。曲がりの強い物を矯正して使うのではなく、その持ち味を生かした形があってもいいと思ったのです。自己流なので、「臥竜垣」というよりは「我流垣」かも知れません。

 

 

彗星の庭

 

彗星の庭

 

半坪ほどの中庭の改修です。竹垣の補修に合わせて既存材を組み直し、庭の模様替えを行いました。
蹲踞と灯篭のある庭ですが、庭に動きが乏しく造作同士の関連性も弱い。ここに灯篭と蹲踞を組む必要性も感じられないことから、必然性のある庭への変身をご提案しました。この庭の作者は20年前の私。庭の改修で、自分自身もリニューアルできました。

 

 

ラフスケッチ

取り掛かりの前に書いたラフスケッチ

 

 

改修前

改修前

 

 

改修後

改修後

 

四角いスペースに四角い灯篭を正面に向けて据えると、面積を取らず安定感も増します。反面、面白さに欠け、逆に狭さを誇張しているようにも見えることから、思い切って角度を変えてみました。

 

 

既存のツリバナと、主庭にあったナツハゼ

 

玄関前のツリバナ

 

灯篭の背後には、既存のツリバナと、主庭にあったナツハゼを寄せ植えし、景色が左から右へと流れるように気勢を作りました。ツリバナは玄関の前にもありますが、同じ木を玄関の前後に植えることで庭に一体感を出したいというのが作庭当初の考えでした。灯篭の後ろの竹は孟宗竹です。竹の曲線を利用し、袖垣の縁のようにあしらってみました。

 

 

改修前

改修前

 

 

改修後

改修後

 

庭に敷いていた伊勢砂利はマサ土と混ぜ、色違いの洗い出しで帯をつくりました。周囲に敷いた黒那智石と真黒石の石積は夜空を表し、織部灯篭には三日月の月窓がある。夜空を行く彗星のイメージです。

 

 

 

改修後

ライトアップした中庭

 

 

 

→作庭集

 

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