「イベント出展の庭」

 

イベント出展の庭

2007年10月20〜21日 二ツ井きみまちマラソン物産フェア 出展
会場 能代市二ツ井町体育館駐車場

 

町のイベント会場につくった即興の庭です。
主催の役所の方にお願いし、山野草店の脇の、三坪ほどの空地をお借りしました。会期は二日間、現地での準備期間が足りず、会期中に実演製作しました。製作に丸一日掛かったので、お披露目はわずか一日、夕方には解体したという幻の庭です(笑)。

 

 

製作中・1

製作中・2

製作中・3

 

庭の素材は、全て一手間掛けて加工しています。庭の性格上、すぐ作れてすぐ解体できるような工夫も必要。さて、この素材たちは、どんな風に庭の中に納まるのでしょう。作っている私たちにもわかりません(笑)。

 

 

庭の全景

 

庭の全景です。すぐ隣は、マラソン大会のゴール地点。人の流れがどうなるかわからないので、庭の向きをどうするか、見せ場をどこに作るかで悩みました。構成はぶっつけ本番です。素材の組み合わせや地割は、その場で考えて作っていきました。現場ではいろんなことが起こるので、作庭者には臨機応変さが求められます。いい訓練になりました。

 

 

反対側から

 

反対側から。ここは駐車場なので、下はアスファルトです。石や木を埋め込むことが出来ないので、そんな制約をどう自然に見せるのかも、この庭の課題のひとつでした。見映えを考えて、メリハリのある現代的な庭にすることを第一義にしたので、十和田石(切石)を多用し、庭に方向性を出しました。

 

 

庭のポイントは手水鉢

 

この庭のポイントは手水鉢。水鉢は出雲産の織部灯篭の傘に水穴を開けたものです。台石は版築工法を応用して作ったもので、立手水のように扱い、背面には十和田石を六方石のような感じで立ててみました。現代住宅の中庭などに合うのではないかと思います。筧はステンレス、水はポンプで循環しています。

 

 

版築

 

版築は、板などで枠組みし、土と石灰、ニガリを混ぜ、突き固めて作るものですが、枠を外すまで、どんなものが出来るのかわかりません。初めてやってみましたが、ちぎれ雲のような色土の模様が面白いです。素材が土なので、茶系の水鉢とも調和しているのではないかと思います。

 

 

十和田石のベンチ

 

十和田石のベンチです。石を流線型に刳り貫き、砂利土で洗い出してみました。こんなベンチもあってもいいじゃないか!という感じで創ってみました。

 

おじいさんが、ベンチに座ってくれました

 

マラソン観戦に来たおじいさんが、ベンチに座ってくれました。これをベンチだと思ってくれたのがありがたいです。

 

 

おじいさんは、いろんなすわり方をしてくれました

 

作り手は、利用者が庭をどう使ってくれるかが一番見たいもの。おじいさんは、いろんなすわり方をしてくれました。

 

 

子供も座ってくれました

 

子供も座ってくれました。ベンチとしては大成功です(笑)。

 

 

手水鉢の水はポンプで循環

 

子供たちは水に集まります。水はポンプで循環させているのですが、筧に指を突っ込まれて水が止まるというアクシデントもありました(笑)。

 

 

大理石を加工した水鉢

 

オブジェとして、大理石を加工した水鉢も添えました。材料屋さんから買ってきたものをそのまま庭に置くのではなく、一手間掛けて素材作りから行うと、庭への愛着もひとしおです。そんなことに驚かれる方もおりました。

 

 

ハナミズキの赤い実

 

子供が、風で落ちたハナミズキの赤い実を浮かべて遊んでくれました。石積は、このハナミズキの根を隠すための苦肉の策ですが、ロックガーデン風に見せたいと思い、オンコやコニファーを入れてみました。ゴロタは白神山系の石です。

 

 

山の木

 

田舎の人は、庭の構成や石の造形などよりも、どんな木を植えているかに目が行く傾向があります。ここでは、あえて派手な木を避け、樹種や下草の種類も少なくしましたが、そんな統一美の解る人もいて、嬉しくなりました。「木は自然が一番、山の木を植えると雪囲いも要りませんよ。」と言うと、皆さん納得されていました。

 

 

→作庭集

 

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