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支柱の効用と害

 

公共の造園工事を見て感じている矛盾の一つに植木の支柱があります。街路樹ばかりでなく公園の植木の支柱などでも必要以上に頑丈で無意味な支柱を良く見かけますが、せっかくの景観を壊すばかりか、木の健全な生長を妨げ、樹体を傷つけていることがあります。町や市などの地方自冶体ばかりでなく、県や国の植栽工事でもそのような状態にありますので、官庁の担当者は何のために木を植えるのかを今一度考える必要があると思うのですが・・・。
木を植えるのですから木が主役。支柱はあくまでも支え、脇役です。主役より目立ち、主役を食うような脇役は役を降ろされます。
与えられた役目を果たしながらも、分をわきまえた支えになるよう支柱を取り付ける植木屋が気遣いしてあげなければなりません。 いくら素晴らしい設計の公園でも木が健全に育てないようでは、支柱が美観を損なうようでは無意味です。
「支柱はいずれ外れるからそこまで気を使わなくても」という安易な考えで支柱を付けられた木が、5、6年後支柱が外れた時病んでいたのではどうしようもありません。
庭を作るのも公園を作るのも我々植木職人です。
私の住む町内の公園で見た支柱を元に、具体的に説明してみたいと思います。

 

 

植木の林というより支柱の林

 

植木の林というより支柱の林

 

 

樹冠を突き抜け、必要以上に伸びた支柱・1

 

樹冠を突き抜け、必要以上に伸びた支柱・2

 

 

 

樹冠を突き抜け、必要以上に伸びた支柱。結束点のすぐ上で切れば目立たない。一回鋸を引けばすむこと

 

 

、風で枝が支柱に当って傷む

 

上部はまだ結束できる枝があるのに、風でこの枝が支柱に当って枝が傷む。この場合は支柱を切るか、結束する

 

 

木と離れた箇所で結束しても効果は薄い

 

風で支柱で擦れて傷んだ幹

 

 

木と離れた箇所で結束しても効果は薄い。逆に幹に近いところで結束しないと風で支柱と幹が擦れて傷む。設計書の寸法ではなくその木に合わせた掛け方をするべき

 

 

不適切な結束

 

根杭はちゃんと結束点の上で止まっているのだが、なぜ上部もそうしないのか。 竹は上部を節止めにするので、先端が結束点のすぐ上にくるように下部を切って長さを調節すればもっと目に優しく見える。

 

 

基本的な八つ掛け支柱

 

基本的な八つ掛け支柱もあった

 

 

支柱の重みに負けそうな木

 

支柱の重みに負けそうな木。 木に合った大きさの支柱を取り付けてあげないと木によけいな負担が掛かる

 

 

木にも命があります。
人の都合で植えられた木は人が面倒見てあげなければなりません。植えた時のほんの少しの気遣いで防げる害もあります。発注側の検査基準も「木が1センチ小さいから」だとか「支柱の寸法が短い」だとかで不合格にするより、「木が健全に成長できるように適切に支柱が取り付けられているか。」、「公園や街並みの美観を損ねていないか」を第一に見るべきだと思うのです。
公園は誰のための何のためのものなのか、木は何のために植えるのか、責任は発注者ばかりにあるとは限りません。言われたことだけをやる我々施工業者側も反省しなければなりません。
そうでないとこれからも延々とこんな仕事が続けられていきます。私の住む二ツ井町、能代市の合併を機に、環境のまちづくりを掲げる新市だからこそ、街路樹の問題とともに全国に率先して実践して欲しいと思っています。

 

 

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