「柿の木のある庭」

 

柿の木のある庭・テラスでお茶を

 

能代市O邸  作庭 2010年9月

 

 

  ――――「木陰で涼めたらおかげさま」。いつかそんなことを感じられる庭をつくれたらと思いつつ、新しく植 えた木ではなかなかそこまではできなくて、庭の中で木陰を満喫できる庭はまだつくれないでいた。

   下見でこちらのお宅を訪れた時、大きく枝を張る柿の木の素晴らしさに目を奪われた。

   あまり手を入れていないので徒長も少なく、柿の木らしい本当にいい樹形をしていた。長い間、ご家族の成長を見守ってきた、この庭の守り神。この庭なら木陰の庭をつくってあげられる、そう思った。

   庭が完成間近になった時、「どこかに座る所がほしくなってきたね。」というご主人の言葉を聞き、テラスとベンチをつくってあげたくなった。既存の石を利用すれば、なんとかなりそうだった。つくる場所はというと、やはりここしかない。そう、柿の木の下。

   完成後の点検に伺い、お茶をいただく。 作庭中の一服はいつも縁側をお借りしていたが、この日は木陰のベンチでいただいた。柿の幹を背もたれにして座ると、なんだか木と一体になれているような気がして気持ちがいい。

   土から露頭する石のベンチからは、大地のエネルギーがそのまま体に伝わってくるようだ。静けさの中、石の上にトンボが遊びに来た。大樹の懐に抱かれ、包み込まれるような優しさの中にいると、人も鳥も、虫も花もみな、同じ生き物であることを実感する。

   見上げると、空がどこまでも青い。青い空と白い雲、色づき始めた柿の葉のコントラストが美しい。土地の土でつくった三和土(たたき)のテラスには、時折ひらひらと柿の葉が舞い降りる。この柿の葉が空と庭を繋げてくれている。石のベンチに腰掛け、庭を見ながらいただくお茶はことのほか美味しかった。

   移植や石積みなど、難儀した分だけこの庭には思いがある。これまでの蓄積を活かしつつ、次へと繋がる新しい試みもできたので、技術的にも、とても充実した庭づくりだった。

   それでも、そんな技術的なことなどどうでもいいと思わせてくれるのがこの柿の木の存在感であり、この木陰であり、木漏れ日だ。人知を超えた樹木と時間の力は尊い。

   施主の夢をかなえるはずの作庭者が、施主から夢をかなえていただいた。庭師は庭をつくることで庭から育てられている。本当に有難い。このおかげさまにあらためて感謝。

 

寒風石・板石の階段

寒風石板石階段 

 

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階段から柿の木の根元のテラスを見る

階段から柿の木の根元のテラスを見る

 

 

縁側とテラスのつながり

縁側とテラスのつながり

 

 

縁側からの景色・右手

縁側からの景色 右手

 

 

土管を再利用。穴を空けてガラスをはめ込んだ灯り

現場の土中から出た土管を再利用。穴を空けてガラスをはめ込んだ灯り

 

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石樋を兼ねた水鉢

石樋を兼ねた水鉢 

 

 

縁側からの景色・左手

縁側からの景色 左手 

 

 

庭の表情・あられこぼし 

 

 

庭の表情・苔張り 

 

 

庭の表情・たたき 

 

 


 

ブログ・紅の葉の木陰より

「庭づくり始め!」

「作庭6日目」 

「えぐれ」 

「作庭8日目」 

「木蔭で涼めたらおかげさま」

「大安吉日、庭完成」

→作庭集

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