「四角い家の○□な庭」

 

「借景」を使った枕木園路の庭

 

「周囲に桜並木や黒松林があり、敷地内にもアカシア林があるなど、このロケーションを庭に取り込み、[借景]を活かした庭づくりを行いました。

2004年10月 作庭地 秋田市飯島

 

[施工前]

施工前・1

施工前・2

施工前・3

度重なる台風で、せっかくのアカシアの葉が落ち、秋なのに新芽が出てきていました。まずは地盤の造成から。バックホーで芝地となる所の草を剥ぎ、天地返し、砂地なので客土をします。

 

 

[施工中]

施工中・1

施工中・2

施工中・3

枕木の園路と水鉢が据わり、庭の骨格が出来ました。庭の構成、骨組を作るまでに一番時間が掛ります。これから植裁をしていきます。

 

 

[施工後]

施工後・1

施工後・2

施工後・3

 

リビングからの眺め

蹲踞

奥様が茶道を習われていたことをお聞きし、単なるバードバスではなく、役石を据えて、蹲踞として使用出来るようにしました。
前庭を外露地、主庭を内露地と考えれば、境にある土留めの枕木あたりが「向付」の場になります。

 

玄関前からの眺め

玄関前からの眺め

芝庭は、直線的な枕木の園路に対して円形にしました。隣地の畑には枕木の柵があり、目隠しにドウダンの生垣を植えましたが、柵の方が背が高くドウダンが成長するまではこの柵の景色と付き合わなければなりません。それならば、いっそ、この枕木柵の景色も庭に取りこんでしまおうと、芝生の中にアクセントとして枕木を2、3本ずつ組ませて敷きました。庭にリズム感を出すとともに、前庭から続く枕木の園路とも呼応させています。
建物際の枕木園路、芝庭の枕木のアクセント、隣地の枕木の柵と、近景、中景、遠景に枕木があることで統一感のある庭になったと思います。

 

蹲踞

水鉢は「知足」を使用

蹲踞付近は、枕木と連動させて、台石、砂利留めの大谷石の縁石なども長方形の物で統一しました。
水鉢は、芝庭の「円形」と枕木・建物の「角形」に合わせて、水穴が角形で輪郭が円形の「知足」を使用し、周囲との調和を図りました。中央の水穴を「口」の字に見たて、上から「吾唯足知(われ、ただたるをしる)」と読みます。「富んで心が貧しいより、貧しくとも心が富んで豊かな方が良い」という意味だそうです。石庭で有名な京都の竜安寺にある水鉢です。

 

前庭

前庭

駐車場から玄関に入る入り口には枕木を敷き、建築中に敷かれた砕石をかき集め、ゴロタ石で縁取ってアプローチのように見せました。駐車場には別の砕石を敷いたので、色の違いで駐車場とアプローチを区分しました。あるものを利用した苦肉の作(策)です。植裁の土留めも兼ねた縁石は、和風っぽく見えてしまうので、駐車場に敷いた砕石と同質の物を使って目立たないようにしています。枕木の門柱、砕石敷きのアプローチは主庭へと分岐しますが、道しるべ(灯ろう)と門の役割を兼ねて枕木を組ませて立ててみました。

 

これは何?

花の形の踏分石

余った石で遊んでみました。分岐点にゴロタ石を寄せ集めて踏分石を据えました。玄関側から見るとこうなります。どうです、花に見えるでしょうか?訪問される方が来た時は気付かず、帰りに「えっ、あれっ、何っ」とちょっと驚きながら気付いてくれたら楽しいな!と想像しながら作りました。

 

枕木園路

枕木園路・1

枕木園路・2

デッキに合わせて枕木で園路を作りました。デッキ側は、デッキを支えるコンクリートの束石の固さを和らげる意味と砂利留めを兼ねています。園路は、枕木だけを敷き詰めると窮屈な感じがするので、アクセントとして間にゴロタ石の石張りを挟みました。

 

借景

借景

前庭と主庭を仕切るスカイペンシルとドウダンの生垣の手前に、二つの高さの違う生垣を繋ぎながら、西側に見える山並みの陵線に合わせるように、アベリア、ツツジ、サツキを寄植しています。既存のアカシア林と山並みのアカシアが呼応して庭と自然に一体感を出しています。

 

 

駐車場

蹲周り

アカシヤの林

枕木の園路で各景を繋ぐ

 

 

 

→作庭集

 

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